大切な人を失った悲しみ(モーツァルトのヴァイオリンソナタ第28番その他)

モーツァルトヴァイオリンソナタ第28番第二楽章

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mozartszeryngandhaebler

モーツァルトのヴァイオリンソナタの楽譜はどの出版社のものがよい?

2017年5月30日

この記事で書いたようにモーツァルトのソナタの楽譜を買って、最近はほとんどそればかり弾いていました。

楽譜にはK.301~K.306までの6曲が収録されていますが、この6曲は1778年、モーツァルトがマンハイム、そしてパリにいた頃に作曲されたようです。

K.303以外は一通り弾いてしまったので、数曲について感想ならなにやらを書きます。

 モーツァルトのヴァイオリンソナタの感想など

まず僕としては楽章の構成が目につきます。

古典ソナタというと急緩急の三楽章構成を思い浮かべますが、K.306以外は二楽章構成で、一楽章はAllegro楽章ですが、二楽章はAllegroだったり、遅いロンドだったり、メヌエットだったりと一定しません。

なんとなくフルート四重奏が思い出されます。

まあ二楽章で終わるのもすっきりしていてよいかもしれません。

ソナタというのもどうも重たくなり勝ちですからね。

その通りに、三楽章構成のK.306は他に比べるとやや大型のソナタです。

以下の参考にAppleMusicを載せておきます。

K.301 第25番ト長調

この曲は僕がまず弾きたかった曲

第一楽章

モーツァルトヴァイオリンソナタ第25番第一楽章

爽やかな曲です。

ヴァイオリンソナタでは普通主題をヴァイオリンとピアノで交代して二度歌うことが多いです。

この楽章ではまずヴァイオリンが主題(メロディ)を担当してそのあと違うモチーフをはさんでピアノに主題が移ります。

第二主題も似たようです。

第一主題も第二主題もシンコペーションが使われていますが、効果は随分違います。

第二楽章

モーツァルトヴァイオリンソナタ第25番第二楽章

明るく親しみやすい曲

僕は一時期この曲の魔力にとりつかれてメロディを四六時中くちずさんでいました。

スラーとスタッカートを気味よく演奏する醍醐味がある(笑)

この曲は明るくききやすいのでモーツァルトのヴァイオリンソナタ入門にはいいかもしれません。

K.304 第28番ホ短調

モーツァルトのヴァイオリンソナタ中もっとも有名な曲でしょうか。

数少ない短調の曲

パリ滞在中に同行していた母親がなくなりますが、その頃作った曲のようです。

どうもこの曲にはその悲しみが現れているようです。

第一楽章

モーツァルトヴァイオリンソナタ第28番第一楽章

ユニゾンで始まる曲ですが、ここでは悲しみよりも運命の厳しさやそれに対する、あるいは怒りみたいなものを感じます。

第二楽章

モーツァルトヴァイオリンソナタ第28番第二楽章

第二楽章はもっと感情的なものです。

悲しみが直接感じられます。

前に僕の妹がこの曲を聴いて、何も知らなかったのですが、「お母さんが死んだ(悲しみ)みたいな曲だね」といったので驚きました。

悲しいけれど非常に美しい曲です。

中間のこのホ長調の部分がまた美しい。

モーツァルトヴァイオリンソナタ第28番中間

この黄をつけた部分の和音(四度七)が僕は好きです。

ああ、こうやって使うんだなあと勉強になりました笑

バッハの無伴奏のシャコンヌもこれをひたすら長くしたような構成ですが、あれもマリア・バルバラ(妻)の死と関わりがあるのかもしれません。

中間の長調が”ありしころの思い出”という感じがします。

K.306 第30番 ニ長調

三楽章形式で最も充実した曲です。

弾くのもこの曲が一番難しかったです。

第一楽章

モーツァルトヴァイオリンソナタ第30番第一楽章

力強い開始ですが、ヴァイオリンがちょっと力強すぎてどうかな・・・笑

耳に残るというのではずばぬけていますね。

モーツァルトヴァイオリンソナタ第30番第一楽章第二主題

力強くて単純な第一主題に比べると第二主題は繊細で知的です。

第二楽章

モーツァルトヴァイオリンソナタ第30番第二楽章

いい曲です。

何かベートーヴェンを思わせるような誠実さがあります。

第三楽章

モーツァルトヴァイオリンソナタ第30番第三楽章

楽しい曲。僕はこの曲好きです。

つくりがちょっと変っていて、終わりにカデンツァがつく協奏曲風のもの。

カデンツァ部分

モーツァルトヴァイオリンソナタ第30番第三楽章カデンツァ

ピアノソナタ第13番終楽章など他にも協奏曲風のソナタはあります。

この部分なんかまさにカデンツァというところ。

モーツァルトヴァイオリンソナタカデンツァらしいところ

ちゃんと練習するとしたらこのK.306かなあと思います。

あとがき

モーツァルトの曲は響きが豊かなので、楽譜を改めてみると音の”少なさ”に驚きます。演奏者の腕ももちろんありましょうが、これを弾いてああなるのか?と思われるわけ

そうですね、モーツァルトのヴァイオリンソナタはそこまで聴かれているものでもないと思うんですが、(特に)28番は聴いて損はないと思います。

何か人生中の宝石を見るような曲です。

ヴァイオリンをやっている人とソナタの話をすると大体この28番の話になって賞賛祭になります。

あんまり綺麗で涙がでる

なんていうセリフを何度も聞いたような気がしますが、大げさではないでしょう。

母親の死があってこの曲ができたとすれば、人の死はいつも気味のいいものではないですが、死んで跡に残るものもあるということでしょうか。

この曲が大切な人を失った悲しみの慰みになった人はきっと多くいるはずです。

悲しみを美しい曲に変換するというのはちょっと常人技ではありませんが・・・。

まあヴァイオリンソナタはどれも聴けば面白いものです。

よければ今回紹介した三曲のうちどれかでも聴いてみてください。

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