2017年1月10日投稿 2017年2月10日更新
語学の勉強を始めようと思ったらまずは辞書を手にいれたいところですが、勉強よりもどの辞書が自分にあっているのかがまず難しい問題です。
英語の辞書は特に数が多くて、書店をのぞくとずらりと並んでいるのをみることができます。
おすすめはこれ!という一点推しで辞書を紹介してもよいのですが、自分でいろいろとみて決めるのも大切だと思いますから、今回はめやすとして僕の持っている辞典を色々な点から比較してみます。
英和辞典の比較
比較項目
-
- 外観
- 初版年&編者
- 収録語句数
- 付録
- 価格
等
注意
- 紹介するのは一部だけで、出版されている英和辞典はもちろん他にもたくさんあります。
- 紹介するのは最新の版ではありません。新たな版も合わせて紹介します。
- 収録語句数はおよその数です。
- 付録は主なものです。
- 価格は2月10日現在Amazonでの価格です。
- アプリがある場合は一応示しますが、これを書いている人はアプリ版は使ったことがありません。
(最新)コンサイス英和辞典(三省堂)
第10版‐新装版 1970年 合成皮革装
編集主幹 佐々木 達
発音指導 Prof. N. C. Scott
収録語数 80,000
大きさ 約17×10.5×3(cm)
略歴
1922年 袖珍コンサイス英和辞典 初版発行
1951年 最新コンサイス英和辞典 (直接の前身)
1966年 最新コンサイス英和辞典 第10版
主な付録
- 米英の祝祭日
- 米国大統領表
- 英国元首表
- 米国の州名と首都名
- 数の読み方
- 符号・記号・略号
- 度量衡換算表
コメント
ポケットサイズで持ち運びに便利な辞書 あと装丁が非常に美しい
僕は辞書を外に持っていくとすれば大体これをもって行きます。
小さい割に8万という驚異的な収録語数なのでこれ一冊あればおよそ事足ります。
しかし各項目の解説は簡潔で詳しくないので、学習用にはむかないと思われます。
学習用とは別に持ちたい一冊。
グランド センチュリー英和辞典(三省堂)
初版 2001年
監修 木原 研三
収録語数 68,000(見出し語42,000、成句11,000)
大きさ 19×13×4
略歴
1996年 ニューセンチュリー英和辞典
2000年 グランドセンチュリー英和辞典
最新版
主な付録
- 数字の読みかた
- 和英インデックス(15,000項目)
コメント
コンサイスと同じく三省堂出版の辞典
重要語に「意味の窓」がついていて見やすいです。
会話コラムや成句の項目などが充実していて、さらに目次が詳細なのでひきやすいです。
個人的には最新版のほうが品があって好きです。
ライトハウス英和辞典(研究社)
第3版 2000年
編者 竹林 滋
小島義郎
東 信行
収録語数 65,000
大きさ 20×13×4.5
略歴
1972年 研究社ユニオン英和辞典 初版
1984年 (改称)ライトハウス英和辞典 初版
1996年 ライトハウス英和辞典 第3版
最新版
主な付録
- 文法解説
- 発音解説
- つづり字と発音
- 動詞型・形容詞型・名詞型の解説
- 和英索引
コメント
初級から中級むけの使いやすい辞書
僕もしばらく愛用していました。おそらく一番使った辞書
日本人が苦手だけれど使用頻度の高い「コロケーション」、他に会話表現、単語の記憶のための語源等の解説が豊富。
第4版
手元に第4版もあるので、比較のために紹介します。
第4版 2002年
編者 竹林 滋
小島義郎
東 信行
赤須 薫
収録語数 62,000
大きさ 20×13.5×4.5
付録はだいたい同じですが、別冊「つづり字と発音解説」、リスニング用のCDがついています。
フェイバリット英和辞典(東京書籍)
第2版 2002年
編集委員代表 浅野 博
収録語数 見出し語48,000 成句10,000
大きさ 19×13.5×4.5
略歴
1996年 初版
2001年 第2版
最新版
主な付録
- 発音解説
- 語形成・接頭辞・接尾辞一覧
- GRAMMAR (文法)
- 和英索引・コンピュータ用語
- 度量衡換算表
- 通貨一覧
- 別冊使い方の手引き/発音解説&リスニング用CD
コメント
「文化」や「語法」など脇役というべきものが充実していて、特に語源、由来が面白い。
辞書を引くのは単調になりがちですが、こういう項目の充実も重要なところかもしれません。
オーレックス英和辞典(旺文社)
2011年 初版(重版)
編集委員 花本金吾 野村恵造 林竜次郎
収録語数 100,000
大きさ 19×14×5
略歴
2003年 レクシス英和辞典
2008年 オーレックス英和辞典
2017年9月20日発売 2017年10月23日まで4,800円が3,400円になっているようです。
主な付録
- NAVI表現一覧
- 発音解説
- コミュニケーション情報
コメント
NAVI表現というのは文章や会話で広義の意味において副詞的な働きをもつ表現をあつめたもの。
このNAVI表現やコミュニケーション情報の項目、そして全体の雰囲気からいって現代的な辞書。
ただ別に本文が(ありがちなように、露骨に)派手ということでもない。
ジーニアス英和辞典(大修館)
第4版 2007年
編集主幹 小西友七 南出康世
収録語数 96,000
大きさ 19.5×14×5
略歴
1988年 初版
2006年 第4版
コメント
この辞書もよくつかいました 。
収録語数がオーレックスとともに最大規模です。
ジーニアスはかなり落ち着いた雰囲気をもっています。
ウィズダム英和辞典(三省堂)
第2版 2008年
編者 井上永幸 赤野一郎
収録項目 90,000
大きさ 19.5×14×5
略歴
2003年 ウィズダム英和辞典 初版
2007年 ウィズダム英和辞典 第2版
最新版
アプリ
iphone/ipad
英和第3版&和英第2版
主な付録
- 囲み記事一覧
- 数字・記号見出し検索一覧表
コメント
語の説明が細かく丁寧です。
ウィズダムは(コンピュータ)コーパスという英単語の大規模データを日本人に適するよう独自に構築して、それを辞書編纂に本格的に活用した日本初の英和辞典です。
そのコーパスを利用して重要な用法にはロゴをつけたり、あるいは囲み記事として欄を設けたりしています。
印刷はジーニアスなどと比べるとやわらかい感じがします。
辞書選びのポイント
今回はおよそ初級から中級程度の学習で使える辞書を紹介しましたが、初心者の場合はあまり項目数の多いものは選ばなくてよいと思います。
大体同じ値段なら語数の多いものを、と考えてしまいますが、項目が多いとそれだけ検索に時間がかかります。
ですから、初めて辞書を買うとき(目安:中学生~高校生レベル)は、ライトハウスやフェイバリット等の小さめの辞書を買うことをおすすめします。(ただし受験等特別の場合は話が別かもしれません)
そして程度があがってきたら(目安:高校上級以上)、ウィズダム、ジーニアスやオーレックスなどの項目数の多いもの、ここには紹介していませんが、ルミナス英和辞典 やアドバンストフェイバリット英和辞典
がいいでしょう。
ルミナス英和辞典はライトハウス英和辞典の、アドバンストフェイバリット英和辞典はフェイバリット英和辞典の高級(上級)なものです。
また社会人の方で会話や、時事的な語彙が必要な方はなるべく新しいもの、特にオーレックスがよいのではないかと思います。
辞典もまた人によって相性があるものですが、それは実際に使いこんでみないとわからないことです。
見た目が気に入っている、というのも大事でしょうから、函(はこ)や表紙、本文の”感じ”をみて気に入ったものを選べばよいと思います。
また価格が高くなってしまいますが、革装版があるものもあります。
辞書はふつう時代を経るごとに進歩していきますからなるべく新しいものを求めるとよいでしょう。
この記事で紹介したものは多くが古いものですから、あまり参考にならないかもしれませんが、もっている雰囲気はそこまでかわらないものです。
ただし現代の辞書は多色化というか、派手になる傾向があるみたいですから、気になる方は書店で確認するとよいと思います。
数種の辞書をもつことについて
はじめは一冊あれば十分だと思います。
しかし、そのうちに一冊で足らないことに気が付きます。
語自体が載っていたり、載っていなかったりすることはもちろん、”用法”があったりなかったりするからです。
この辞書には書いてあるが、この辞書には書いていないということがよくあります。
微妙な使い方の語は辞書を引くのも丁寧にやらなければいけませんが、一冊だとなかなか難しいところがあります。
できれば普段の学習用一冊、持ち運び用一冊に加えて、より詳しい中辞典(あるいは大辞典)があるとよいと思います。((英和)中辞典というのは中型の英和辞典のことです)
あとがき
辞書をひいて勉強する、なんてことは非常にめんどうなことです。
第一勉強自体めんどうで、大変なことです。
ですから、その勉強あるいは辞書をひくことが少しでも面白くなれば、それはそれはよいことでしょう。
嫌いな辞書よりは好きな辞書のほうが勉強もはかどると思います。
英文を読んでいて、この単語がわからない、となったときに、さて辞書を引きますが、そういうときは意味だけを確認して辞書をとじることが多いのではないでしょうか。
一度英文を忘れて辞書を引いてみてください。そして全体の意味を眺めてみる。
意味だけではなくて、辞書に載っている”余計なこと”にまで目をとおしてみる。
そうすれば辞書というのが、意外と面白いものだと気が付きます。
辞書が面白くなれば、語学の勉強も楽しくなるでしょう。楽しくならなくても、気楽に、少しは、なるでしょう。
知らない言葉とすごす
言葉は知らないとわからない。
辞書を引けば意味が書いてある。
意味がわかれば言葉がわかる。
ただ実際は、それだけではない、もっと微妙なものである。
先生とムーミンの彗星の話を読んでいるとき、
Strike me pink!
ということばがでてきた。
ムーミンはことあるごとにStrike me pink!という。
そのまま訳せば、打って私をピンクにせよ、という意味になるが、そんな珍奇な場面ではない。
言っている様子からすると、どうもそんなに綺麗な言葉ではないようだ。
この話の中にさて何回Strike me pink!がでてきたかわからないが、とにかく結構な数でてきた。
英和辞典で探してみようということになって、僕は持っている辞典をすべて引いてみたが載っていなかった。先生も探したがなかったという。
しかし、何度かでてくるうちになんとなく意味は察せられてきた。
Strike me pink!を探す旅は続いた。
手元にある辞書にはないから、書店にあるものを引いてみたり、英英辞典でも探したがなかなか見つからなかった。(本気で探してもいなかったが)
そのまま一年以上みつからなかったが、ある日、ある辞書でStrike me pink!をみつけた。
それもstrikeではなくて、pinkのほうに載っていた。
そこには一行、「こりゃ、驚いた!」と載っていた。
僕と先生はあった、あった、やっぱりこんな意味だ、と喜んだ。
しかし、喜びは探し物をみつけた喜びだった。
Strike me pink!の意味がわからないという問題はもうとっくに解決していたのである。
なぜなら、ムーミンがいったstrike me pink!は「こりゃ、驚いた!」だけではなかったから。
通りがかり様
ご指摘ありがとうございました。
問題と思われるところ削除訂正しました。