夏もいよいよ終りに向かい始め、今年も読書の〇とかスポーツの〇とかいうあの季節が近づいてきました。
暑い地方はまだまだ、10月ころまでは、汗の流れるくらい暑いんでしょうが、僕の住んでいる北国はもう夏の翳り、収穫の〇
僕は〇という季節があまり好きではありません。
冬に向かうものだからです。
北国に住むものにとって冬というのは大変に厳しいものなのです・・・
仕入れた本の手入れ&整理
僕は週に一度街へ行きます。
街というのは人が集まるところですが、僕にとってこの週一度の散策は山里に遊ぶのと同じような心持があります。
もちろん性質としてはまったく違いますが、街の人というのは意思を持たない一つの集団であって、基本的に僕に接触、関与してきません。
つまり街の人というのは山の石や草と同じような、まあ実際はそれより存在の薄弱な、気にかからないものなのです。
※この記事でそんなことを書きました→『地下通路で人の心が失われる現象について』
この週に一度の遠足で僕は例によって古本屋に立ち寄ります。
このことは確かこれまでにも何度か書いたことがありましたが、最近はこの”活動”がますます盛んです。
夏は日差しが強いので、大学構内の林道といえるような道の木陰を自転車で進み、医学部のあたりから公道へでます。
すると横断歩道を渡ってすぐのところに僕のよくいく古本屋があります。
古本屋というのは大体外に棚やいわゆる”ワゴン”があって、それか店内に特別の棚を設けて、格安の本をならべてあります。
新本を扱う書店でもたまにワゴンセールなんかがありますが、古本屋の外の棚は常にワゴンセール状態です。
僕の通う古本屋の外の棚には100円から500円位の値がつけられた本がおいてあります。
文庫や新書は50円のときもあります。
で、僕は喫茶店に行く前にこの店の前に自転車で乗り付けて日差しの照りつける中この格安の本棚を眺めます。
夏の暑い日は直射日光100%ともいうべきときがあって、今年もこれに撃退されたときがありました。
貴重な本をみつける
貴重な本というのはふつう高値なものです。
高値のついた貴重な本というのは誰でも見つけることができます。
しかし古本道の基本は貴重な本を安く買うというところにあります。
それが難しい。
安くてよい本を見つけるためには幾つか身につけておくべきことがあります。
一つは本の状態を判断できること
この記事↓で書いたことなどです。
一つは出版社、作家(著者)、作品について知っていること。
これが一番重要です。知らない本というのは注目されません。
ただしこれは勘が冴えてくると全く省略されることがあります。
つまり何も知らないのによい本だとわかるときがある・・・
一つは自分に必要な本がわかること
僕はもう読書家というより収集家の趣がつよいのですぐに読まないと分っている本でも買ってしまうのですが、それでも”生きている間に読む”だろうという本を買うようにしています。
死んでから読む本は死んでから買えばよいです。
買った本に手入れする
古本というのは、といっても新本でも包装をはがしたり何か手入れが必要なものですが、特に購入してから保管するまでの間に手間がかかるものです。
これが結構めんどうなんで、僕は購入した古本をそのまま放置してしまいます。
それでこんな具合にたまってくるわけです。
僕の場合本を買う頻度が並じゃないのでこのくらいはすぐにたまってしまいます。
僕のよく行く古本屋から買ったものは右上の包みで、この包装紙は古本好きの間では結構有名なものらしい。これ知っている人があれば僕の行動範囲がばれてしまいますね。
それからみて分るとおりBOOKOFFのものもあります。
BOOKOFFで古本を買う
話がそれますが、ブックオフで古本を買うのは、僕からすると、古本屋で古本を買うのよりも難しいことです。
どの本屋でも玉石混淆なのは変らないでしょうが、ブックオフの場合まず玉が少ない。
そして値のつけかたも実にいい加減です。
同じ本があったとして、明らかにこちらのほうがよい”モノ”だ、という場合でももう一方より安いときがあったりします。(そして悪いものが高い)
膨大な本の中から貴重なもので、さらに安値がついたものを見つけるのは結構難しいものです。豊富な経験が必要です。
今回ためた本
今回ためた古本がこちら
①
僕は知りませんでしたがこれはかなり有名な本で、先生によると昔の学生は競って読んだそうです。
・『新フランス語入門 』
中を開いて、著者の熱の入り具合が面白くて買った本。
フランス語の初級文法を歴史とか芸術とか、とにかくあらゆる方面に関わりをつけて説いているもの。
結構勉強になりそうなんで、次に読もうかなあと思っています。
イエイツのことはさておき、岩波文庫のこのノーベル文学賞作家フェアなど、復刊したものというのは版が昔のままなので、僕にとっては面白いものです。
これは結構手に入りやすいと思います。
・『Dictionnaire De LA Langue Francaise』
仏仏辞典
これは日本人むけにつくられたものではないようなので、初学者には使いにくいものだろうと思われますが、まあ持っていてもいいやと思って購入。
・『アイヌ文化に学ぶ』
僕のピアノの先生は各地で、アイヌの文化(音楽)を紹介する活動をしているのですが、僕もその影響で多少アイヌ文化に注目しています。
これはざっと読んだあと先生にあげるつもりです。
②
・『源氏物語 全6冊 』
源氏物語は岩波の大きいもの、他を持っているのですが、どれもすべて揃ってはいなかったので、まとめて買いました。
先生はこの山岸徳平訳をすすめていました。
・『友朋堂 老子新釈』
「老子」は英語訳を日本語訳したという変な本を随分前に読んだのですが、もう少し勉強してみたいです。
これは小柳司氣太著。貴重
・『友朋堂 名家随筆集』
上下二巻
江戸時代の随筆をあつめたもの
これは日本語の勉強になりそうなので買いました。
江戸時代の活き活きした書き言葉を吸収したい。
・『ハイネ ルテツィア』
上下巻
ハイネというと詩人のイメージが強いですが、これは思想的な著作が集まったもの。
これが芸術的にも全くハイネの代表作であるという何十年も前の宣伝文句に引っかけられた。
・『Chaucer’s Canterbury Tales The Prologue』
研究社のテキスト
これは昭和九年のものですが、巻末の註と奥付以外、表紙もすべて英語で書いてあります。
今じゃ絶対売れないなあと思いました。
・『俘虜記 (1949年)』
大岡昇平のおそらくデビュー作
100%捕虜の話
捕虜の話に関わらず冒頭などどこかのどかな感じがして面白い。
大岡昇平の戦争関連の著作は多数あり、最近僕のもとに滑り込んだものがいくつかある。
手入れする
まあ手入れっていっても大したことはしないのですが、一応手順を紹介します。
①
まず値札をとります。
値を書き込んであるものは消します。
特に貼り付けてある値札は時間がたつとはがしにくくなるので気をつけます。
②
汚れを落とします。
古本は基本汚れているのでできるだけ綺麗にします。
軽く湿らせた紙なんかで擦ると紙が真っ黒になったりします。
ただこれは比較的新しいビニール装のものなんかには有効ですが、古いものにはあまりよくないかもしれません。
古いものをさらによく保存したいときはなるべく手入れしないのがよいのかもしれないと最近思うようになりました。
表面に積もった汚れを軽くおとすくらいがいいんでしょう。
他に消しゴムで擦るなどの方法があります。
③
蔵書印を捺し日付をいれます。
これは好みですね。
〇月〇日 〇〇書店ニテ
なんていう書き込みがあることがありますが、そういう場合はそれを真似して隣に書きこんだりします。
云十年後次に手にした人が面白がればいいと思っています。
また古本をためる・・・
という具合で僕は延々と古本を仕入れては手入れして保管しています。
このあとは本棚とか本箱に納めます。最近ちょっと本を整理したので近いうちにその本棚なんかを紹介しようかな。
本が増えてしょうがない状態なのでなんとかしないといけません。
このあいだ僕の部屋を見た妹が「便利のいい倉庫」という表現をしていました。恐れ入りました。
この記事を書いている間にも次々に手入れを待つ本が増えていっています。
第三波くらいまで待機しているのでまたしばらくかかりそうです。
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