どうも、暑さで不調のきつねです。
昨日街で盆踊りをみてきました。
いつもお盆は墓参りで同じところにいるものだから知りませんでしたけれど、盆踊りの曲って各都道府県で違うらしいですね。東京は二曲くらいあるようですが、月が~でたで~た~というあの曲がそうだとか。
昨日みた盆踊りは全く生の演奏でなかなかよかったです。
外国の方も大勢参加していて、日本人より楽しそうに活きいきしていました。が、やはり外国(西洋)の方が踊ると、”をどり”というよりは”だんす”でしたね。
日本人でも結構差があって、概して年配の方のほうが上手でした、というかああいう人たちは日本舞踊をやっているのかもしれませんが。
さて、今回の記事に盆踊りは全く関係ありません。
今回は久々に(笑)音楽の話です。
モーツァルトの無敵状態について
最近モーツァルトのピアノソナタ13番を引き散らかしていたんですが、相変わらず面白いので記事にしてみます。
ただ、あんまり細かくみると大変なので、ほんの一部を大雑把にみます。
モーツァルト作曲ピアノソナタ13番変ロ長調
主に注目するのは第一楽章の第二主題が終わってから提示部の終りまでです。
一応わかりやすいようにソナタ形式について少しだけ説明します。
ソナタ形式
ソナタ形式は提示部、展開部、再現部にわかれていますが、とりあえず提示部の構造をみてみましょう。
提示部に絶対必要なのは
- 第一主題(主調)
- 第二主題(属調)
です。
ソナタ形式ができあがって初期の頃は、第一主題のあとすぐ第二主題が提示されて、その後まもなく提示部が終わるという簡単なものでしたが、そのうち拡大されていきます。
つまり
第一主題→第二主題→(提示部終りの終止)
という簡単な形だったものが、
第一主題→つなぎ→第二主題→つなぎ→(提示部終りの終止)
などとなっていくわけです。
モーツァルトの場合
モーツァルトのソナタでは第一主題、第二主題が魅力的であるだけでなくその”つなぎ”の部分にも魅力的な旋律を次々と、天賦の才能をいいことに、もうやたらに挿入してくるわけです。
弾いているとなにか、主題提示という義務を果たした後、音楽が自由に躍動している感じがする。
それがものすごく悪い例えをすると、
あの有名な配管工が星(スター)をとったときに似ている。
もっと悪い例えをすると、無双モード、あるいはエンペラータイムでもまあなんでもいいんですが、
とにかくもうモーツァルトの独壇場なわけです。
当該箇所をとりあえず楽譜でみてみましょう
まず第二主題にいくまでの流れを確認します。
第一主題から第二主題まで
曲の冒頭、Allegroながら穏やかな雰囲気の第一主題が提示されます。
左手が特徴的ですね。
一旦変ロ長調で終止してから、冒頭の音形が繰り返されますが、今度はピアノフォルテの魅力満載、華やかに展開します。
黄をつけた箇所、すでに属調(ヘ長調)の決め手ナチュラルのミが出ています。
その後、(ここまでで、すでに期待感が高まるようなメロディをたくさん投下していますが、)ヘ長調の属和音(ドミソ)で終止します。
全終止(強い終止)ではありませんが、急な下降形と黄の部分の休符で強い効果がありますね。(属和音での終止は半終止といいます。)
そして第二主題です。
第一主題とかわって力強くシンコペーションが気味の良い主題です。
もう一度第二主題が繰り返され、また音楽が躍動します。
これで第二主題の提示が終わったわけですから、終らせようと思えば、この最後のファで終わらせることもできます。
が、モーツァルトに終わらせるつもりは全然ありません。
本日のメイン
上の楽譜の続きですが、見てください。
このFの音から怒濤の如く音楽が流れ出します。
左手親指のドの音を軸にして、これこそモーツァルトなれという音楽が繰り広げられます。
ものすごい簡単なつくりのメロディではありますが、モーツァルトにかかればこの通り・・・
そして、やや落ち着いた音楽があとに続きます。
全終止があって、潜むように終るのかと思いきやまだまだ続く・・・
ものすごい、めまぐるしい勢いの音楽です。
そしてこれがオクターブ上で繰り返され、下降形のこの上なく煌びやかな走句のあと、トリルで最高の盛り上がりに持って行かれます。(こういうただの音階がどうしてこんなに魅力的になるんでしょう?)
さすがにモーツァルトも満足したようで、このあと終結部が続きます。
最後に提示部全体を確認して、実際に曲を聴いてみましょう。
さあさあ、聴いてみよう
Ingrid Haebler plays Mozart Sonata No. 13 in B flat K 333
演奏はヘブラー
できれば楽譜をみながらきくとよいですね。
(スマートフォンだとできないんですかね?)
おわりに
どうでしょう、僕のいう”スター感”は伝わったでしょうか(笑)
まあ、スター感などというとどうも怪しいですが、今回注目したようなことだけでなく、モーツァルトを聴いていると、ああこういう発想があるのかと、無限の気づきがあります。それは音楽的なことに限りません。
この13番と近い時期に書かれた、10番や12番の第一楽章も似た構成を持っていますから、どうなっているか興味がある人は確認してみてください。
◇参考
ちょっと難しいことかもしれませんが、ただ聞き流すだけでなくどう作られているのか少し注目してみると音楽がもっと面白くなると思います。
音楽的なことは知識がないとわからないかもしれませんが、先行するメロディと後続するメロディの関係を考えてみたり、とにかく見様によっては気づくことがたくさんあります。
というわけで久々の音楽の話でした。
僕はお盆が終わるまでにもう一回くらい盆踊りにいって、外国人のだんすをよく観察しましょう。
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