【初心者向け】音楽理論入門におすすめの本をまとめてみる

楽典音楽家を志す人のための

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2016年6月20日投稿 2017年1月27日更新

前に初心者向けの音楽理論書をまとめた記事を書いたのですが、今みると出来が酷いので(笑)もう一度書いてみようというわけです。

(それにあたり前の記事は削除します。ごめんなさい)

僕の場合勉強しているのはクラシック音楽ですが、ジャンルに関わらず、作曲・編曲がしたいとか、ギター等楽器をやっているとかで、

和声(コード進行)のことを知りたいとか、メロディにバス(ベース)や伴奏をつけたいとか、そういう人は意外と多いのではないかと思います。

最近はボカロなるものが流行っているみたいですから、ますますその需要が大きくなるかもしれません(ボカロのことをよく知らないのでわかりませんが・・・誰か教えてください)

 

実際クラシックでいうところの和声とポピュラー等の和声は厳密に同じというわけではないでしょうが、機能和声はクラシックが源なわけですから、クラシック的和声をおさえてしまえば、後は派生ということで簡単におさえることができましょう。

今回はまず音楽理論入門のための本をあげて、それから、これが皆さん気になる所でしょうが、それ(ここでは特に和声)を身につけると何ができるようになるのかを僕の当時の成長段階に合わせてみてみます。

目的によってはもっとよい教科書があるかもしれませんが、まあ参考にはなると思います。

おすすめの音楽理論入門書まとめ

楽典

楽典は音楽理論の事典で、音の種類から、音階(スケール)とはどういうものか、”調”とは何か等が羅列しているものです。

楽典 理論と実習/音楽之友社

楽典理論と実習

楽典―理論と実習(Amazon)

※書籍の画像はAmazonから(以下同様)

これがもっとも使われている楽典です。

目次
  • 序章 音、純正律と十二平均律
  • 第1章 譜表と音名
  • 第2章 音符と休符
  • 第3章 リズムと拍子
  • 第4章 音程
  • 第5章 音階
  • 第6章 和音
  • 第7章 速さ・強さに関する表示法
  • 第8章 曲奏・奏法に関する表示法
  • 問題集

注:簡略化しています。以下同様

です。

第4章ですが、音程というと、俗に”音の高さ”を表しますが、ここではある二音の高さの距離、隔たりのことです。

249ページほどの小さめの本です。

この本の内容をおさえれば充分かと思われます。

楽典 音楽家を志す人のための/音楽之友社

二番目によく使われているもので、題の通りちょっと気合の入った本。

目次
  • 第1章 音楽のなりたち

Ⅰ 音楽の活動

Ⅱ 音

Ⅲ 音律

Ⅳ 音楽の三要素

Ⅴ 記譜法の歴史

  • 第2章

Ⅰ 譜表

Ⅱ 音名

Ⅲ 音符と休符

Ⅳ 小節と拍子とrhythm

Ⅴ 音の装飾と奏法

Ⅵ 音型と反復とその略記法

Ⅶ 演奏記号と用語

Ⅷ 音楽の形式

  • 第3章 音楽の原理

Ⅰ 音程

Ⅱ 音階と調

Ⅲ 和音と和声

  • 問題集
  • 付録(音楽史年表・人名索引・用語索引)

みての通りかなり詳しい内容です。やる気のある人向け。

最後和声の記載もありますが、これだけで和声を身につけるのはおそらく困難でしょう。

 音楽史

理論ではありませんが、概観をおさえておかないと自分が何をやっているのかわからないでしょうから、一通り目を通しておくことをおすすめします。

西洋音楽の歴史/東京書籍

今手に入れやすいのはこれかと思います。

目次

Ⅰ 中世の音楽

Ⅱ ルネサンスの音楽

Ⅲ バロックの音楽

Ⅳ 古典派の音楽

Ⅴ 十九世紀市民社会の音楽

Ⅵ ニ〇世紀の音楽

Ⅴはベートーベン以後のロマン派や民族主義等についてです。

 グラウト 西洋音楽史/音楽之友社

古典的なもの。上下二巻

内容はギリシャ等古代から扱っていますが、やや古い物なので最近のことは書かれていません。

今絶版ですが、おそらく図書館においてあるので、手に入りにくいようであれば借りるという手もあります。

僕は英語の原本をもっています。

グラウトパリスカ西洋音楽史

これはグラウトの音楽史をパリスカが改訂してだしたもの。

これも絶版。上中下三巻

和声

和声は和音とその連結について学ぶもので、これが身につけば、

メロディにバスをつけたり、曲の分析ができるようになります。

ポピュラーなどでいう“コード進行”は和声が身に就けば理解できます。

和声 理論と実習Ⅰ/音楽之友社

もっともよく使われているもので、かなり丁寧な解説です。

が、どうしてそういう風にしなければいけないのか、もしくはした方がよいのか、ということは書かれていず、そこが弱点かもしれません。

この本はバッハ、モーツァルト、ベートーベン等の古典的西洋音楽の和声の習得を目指したもので、学習者はそのところをよく踏まえておく必要があります。

禁則等について、古典的和声感がついていないと、どうしてこれがダメなのか、という疑問が起こりますが、当時使われていなかった書法が禁則になっているというだけのことで、絶対の法則ではありません。(まあしかし、すべての用法は平等の価値を有すという思想を持つのであれば、そもそも和声を学ぶ必要がないわけですからその辺はよく考える必要があります。)

目次
  • 第1章 予備知識
  • 第2章 基本位置3和音の配置
  • 第3章 基本位置3和音の連結
  • 第4章 和音設定の原理
  • 第5章 各種の調
  • 第6章 3和音の第1転回位置
  • 第7章 3和音の第2転回位置
  • 第8章 Ⅴ₇の和音
  • 第9章 Ⅴ₇の和音
  • 第10章 D諸和音の総括

160ページ程

第1章の予備知識は主音やら3和音やら和声の実習に必要な楽典的知識を扱っている章です。

〇₇というのがポピュラーなんかでセブンスというものですね。

Dはドミナントです。

和声を学ぶ前に楽典は一通りこなしておいたほうが良いと思います。

独学について

和声は独学が難しいもので、というのも最終的な目標が”楽典的知識”にないからです。

どういうものがよい和声なのかというのは半分は教科書から学べるとしても、もう半分は先生や実例から学ぶしかありません。

ただし、この本の内容を一通り記憶することは困難なことではありません。

どんなものか気になる人はとりあえず1巻だけ買うことをおすすめします。

和声 理論と実習Ⅱ

目次
  • 第1章 Ⅱ₇の和音
  • 第2章 準固有和音
  • 第3章 Ⅴⅴの諸和音
  • 第4章 Ⅳ₇・+Ⅳ₇・-Ⅱ¹
  • 第5章 K2におけるS諸和音の総括
  • 第6章 K3におけるS諸和音の総括
  • 第7章 近親転調
  • 第8章 ソプラノ課題

200ページ程

ここまでくると和声がおもしろくなってきます。

Kというのはカデンツの略で、カデンツというのは・・・ちょっと説明するのが難しいですね笑

ソプラノ課題というのは与えられたソプラノ(メロディ)に内声とバスをつけるものです。

ソプラノ課題意外の課題はバス課題で、これはバスに上三声をつけます。

 和声 理論と実習Ⅲ

目次
  • 第1章 調設定の原理
  • 第2章 借用和音の総括
  • 第3章 内部変換
  • 第4章 構成音の転位(1)
  • 第5章 構成音の転位(2)
  • 第6章 和音の補遺
  • 第7章 反復進行
  • 第8章 偶成和音
  • 第9章 保続音
  • 第10章 主題的構成をもつバス課題

460ページ程

ちょっと専門用語が多いので見てもわからないかもしれません。

第二巻までは規則に従うことが重視されて学習者の自由はあまりないのですが、ここまでくると自分の発想というのも必要になってきます。

ページ数が多いのでこなすのは少し大変です。

これらの和声の習得については以下でもう少し詳しく扱います。

「和声 理論と実習」には別巻があって、内容は模範解答集です。

必携と思われます。

理由はこの本の帯にあるように、和声を単に理論通りに書くことではなく、美しく音楽的に書くことに目的があるからです。

作曲

和声のしくみ・楽曲のしくみ 4声体・キーボード・学識・作曲を総合的に学ぶために

とにかく作曲がしたいという人はこの本にあたるとよいです。

和声をより実際的な形で学ぶことができます。

250ページ程の小さな本なので読みやすく、入門向けかと思います。

ただ簡潔なので知識のない人にはややわかりにくいかとも思われます。

和声 理論と実習の第一巻程度を身につけた後のほうがよいかもしれません。

対位法

勉強しようとする人はあまりいないでしょうが、一応

対位法/音楽之友社

古典的なもの

第一部 厳格対位法の規則

第二部 厳格対位法の範例

という簡潔な内容。(しかし内容はものすごく濃い)

カントゥス・フィルムスという定旋律に規則に沿って旋律を附加していく。

良い旋律とはどういうものなのか、その基準がみえることは厳格対位法を学ぶことの利益の一つです。

最近この本の著者の弟子の山本博史さんが以下の本を出版しました。

相当丁寧につくられた本で、おそらく独習にも耐え得るものです。独習する人はこちらがよいかもしれません。

また近年復刊したものにイェッペセンの「対位法」があります。

大きめの本で、前半相当数の項が対位法の歴史にあてられています。これだけで一読の価値あり。後半は実習です。

イェッペセンの対位法は上のギャロン・ビッチュよりもパレストリーナの様式に忠実なので、パレストリーナ様式を身につけたい方はこちらをすすめます。

僕の和声習得の実際

和声を身につけると一体どういうことができるようになるのか

また、どの位時間がかかるのか等知りたい方がいると思われるので、僕がどのくらいの時間をかけてどの程度の和声の能力を身につけたのか、示します。

僕は始めて丸二年で上記の和声理論と実習の全三巻をこなしました。

そして当時の解答を残してあるのでこれを参考にあげます。

僕は成人してから何も知らない状態で習い始めました。僕の和声感はごく平凡なものなので、誰でもやればこの位はできるようになるという参考になると思います。

  • 参考のため、今みると直したいところが多々ありますが、そのまま載せます。
  • 課題とはいえ僕の作品ですから、転載等はやめてください。(恥ずかしい)
  • 一応確認はしましたが、写し間違い等あると思うのであくまで参考と思ってください。
  • 課題は「和声 理論と実習」からです。

以下の動画の内容

  1.  まず課題のバス、もしくはソプラノが演奏されます。(機械音)
  2. 僕の解答が演奏されます。

課題をききながら、自分ならどんな風に和声をつけるか、考えてみてください。

和声 理論と実習Ⅰ 始めて3か月位


1-43-1 0001

9の和音の課題ですね。

和声 理論と実習Ⅱ 始めて1年位

これはソプラノ課題です。


2-50-2 0001

転調があったりちょっと複雑になっていますね。

和声 理論と実習Ⅲ 始めて1年半位

その1

三声です。


3-51-3 0001

バスをソプラノが模倣します。その後反復進行が続きます。

その2

ソプラノ課題


3-78-2 0001

かなりロマン派に近い和声ですね。(ソプラノ課題はそういうもの)

和声 理論と実習Ⅲ 始めて2年位

その1

これは主題的構成をもつバス課題です。


3-82-2 0001

これ転回可能対位法になっているんですよね。(上下を入れ替えられる)

こだわってますね笑

その2

同上


3-84-4 0001

階梯導入です。(声部が模倣しつつ次々に入っていく)

こういうのはバッハのスタイルなので(上のも)、バッハみたいな音楽ですね。

終りに

理論を身につけるといっても、身につけた人の外見がかわるわけではないので、いまいちわかりにくいでしょうが、和声を身につけるとこんなことができるというわけです。

僕は作曲・編曲がしたくて和声を身につけたわけではないのですが、

おまけにそういう能力もつきました。(まあ作曲はしませんが)

楽曲分析も、和声の通用している範囲であれば、できるようになります。(もちろん楽式とう他の知識も必要ですが)

というわけで入門書をまとめてみました。

独学したい、またはしている人なんかで疑問があれば、メール、コメント等で質問してもらえれば答えます。

あまり難しいことをきかれると困りますが・・・

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2 件のコメント

  • 現在高校2年で将来音楽関係の仕事に就こうと考えているものです。
    中学の吹奏楽から本格的に音楽というものに触れ始め、幼少期少しだけピアノを齧っていたこともあり(かといって絶対音感は全くないですが)人生の始めの多くの時間を割いたこの分野で生きていこうと思っています。
    最終的にはレコーディングに携わる仕事に就きたいと志している次第でありますが、家庭の事情により音大はおろか、専門学校にも卒業後すぐには通えないことになってしまいました。
    そこで大学4年間は独学で音楽に関する知識を蓄えるとともに、その応用としてインターネットで音楽活動をしようとしている人をミックスやレコーディングといった立場から手助けしていきたいと考えており、その中で作曲もしていきたいと思っています。
    そこで、コード進行などの和声の勉強を独学するにはと調べていたところ、此の素晴らしい記事を見つけさせていただきました。
    前置きが長くなり申し訳ありません。
    質問です。此の記事ではきつねさんが学んだ著書として和声の三巻と書かれていますが、その他序盤で紹介されている楽典などの著書は、和声を学んでいく上で必要となるものでしょうか?

    • 何だか真剣な思いが伝わってきましたので、こちらもできる限り真剣に答えますと、まずここに質問すべきではないと思います。
      そこまで強い、しかも具体的な考えがあるなら、その道で活動、成功している人にきくべきです。
      僕はアマチュアです。
      そして、ネットというのは、言い過ぎかもしれませんが、フィクションです。何にせよ参考程度にとどめておくべきで、将来の職業として考えているならなおさらそうです。

      少しだけフィクション的アドヴァイスをいうと、専門の学校に行けなかったからといって、独学しかできないわけではありません。
      個人の教室から、大手まで、音楽教育を受けられるところはたくさんあります。セミナーなんかもあります。ネットはそういうことを調べるのには役に立つでしょう。
      自分の興味のある音楽や活動に近いところにいる音楽家に師事するのが、一番の近道じゃないでしょうか。

      一応質問にも答えておきますが、
      楽典の中身が豊富な音楽経験によりすでに体験として備わっているなら必要ないかもしれませんが、音楽の現象とか、概念とかを(一般共通の)言語化されたものとして知っておくという点で必要になると思います。
      簡単にいうと、楽譜がわからないと(おそらく)和声はできません。
      音楽史なんかは必ずしも必要でないかもしれませんが、僕の先生は音楽を知らない人に和声(音楽)を教えるのは困難だというような話をしていました。

      とにかく、こういうふざけたブログに書いてあることは話半分できいておくことです笑

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