みなさんクラリネットという楽器は知っていますか。
なにか、クラリネットが壊れただかなんだかいう歌がたしかあったから、名前くらいはきいたことがあるでしょう。
このクラリネットという楽器、実際ピアノやヴァイオリンのように目立つことは少ないのですが、その少ない曲数のうちにものすごい名作があります。
クラリネット 珠玉の名作群
僕も正直にいってクラリネットには全然注目していなかったのですが、クラリネット専攻の友人に勧められて、主要なものを聴いたのですが、本当に名作ばかり。
以下に主なものを紹介します。
重要な作曲家
クラリネットのための曲をかいたうち重要なのは、
1、モーツァルト
2、ブラームス
です。これに尽きます。
あとはこれにウェーバーが入るくらいでしょうか。
曲を紹介する前にクラリネットについて簡単に説明します。
クラリネットとはどんな楽器か
クラリネット
いま一般にクラリネットと呼ばれている楽器が登場したのは比較的新しく、18世紀の頃、つまりモーツァルトの時代ですが、その起源は古くにあります。
クラリネットの原型 「シャリュモー」
17世紀ころ初期のクラリネットは”シャリュモー”と呼ばれていました。
シャリュモーはフランスの古い楽器で、見た目はリコーダーのようですが、クラリネットと同じくシングルリードの楽器です。
シャリュモー自体は18世紀後半まで使われていましたが、18世紀に入って、改良が行われ、世紀の後半になってドイツのベームという人がフルートの新たな機構を開発し、そのいわゆる”ベーム式”という機構がクラリネットにも適用されます。
そうして今のような形になりました。(その後も色々と改良されています)
クラリネット属の楽器
クラリネットとその原型シャリュモーはもちろんクラリネット属ですが、
その他に
・サックス
・バセットホルン
等があります。
サックスはアドルフ・サックスという人が19世紀半ばころ開発したもので、大型のクラリネットである「バス・クラリネット」もこの人によって原型がつくられたといいます。
サックス
バセットホルンは通常使われるクラリネットより低い音の出る楽器です。
今はあまり使われません。
バセットホルン
この画像はクラリネットに近い形をしていますが、もっと変った形のものもあります。
クラリネットの音域と音色
クラリネットは音域によって音色の大きく変わる面白い楽器で、楽曲もそれを活かしてつくられますから、これを知っておくとより楽しめます。
基本的に3種類の音域に分けることができます。
- シャリュモー音域
- クラリオン音域
- アルティッシモ音域
シャリュモー音域
低い音域で、上に書いたクラリネットの原型であるシャリュモーにちなんでいます。
少しざらつくような感触の音で太く原始的で、ちょっと聴きようによっては不気味な音がします。
クラリオン音域
中程の音域。クラリネットという名前はここからとられたもので、この音域はクラリネットの中核をなします。澄んだきれいな音です。
アルティッシモ音域
高音域で、キーと響く甲高い音がします。
文字で説明してもわからないでしょうが、聴くとすぐにわかりますから注意して聴いてみてください。
クラリネットの名曲
ではいよいよ曲を紹介します。
モーツァルト クラリネット五重奏
弦楽四重奏にクラリネットが加わった形で、四楽章あります。
最後の楽章が変奏曲というちょっと変った形になっていて、この形はブラームスによって引き継がれます。
モーツァルトらしい美しさと機知に満ち溢れた曲。
四楽章
※▶で試聴できます。
モーツァルト クラリネット協奏曲
クラリネット五重奏もモーツァルトの晩年に書かれたものですが、この協奏曲は最晩年亡くなる2カ月前に書かれたもので、言語を絶する美しさを持っています。
僕が最も好きな曲のうちの一つで、つらいことがあるといつもこの曲を聴きます笑
死ぬ前に聴きたい曲第一位です。
三楽章とも素晴らしく、どうやったらこんな曲がかけるのか本当に不思議です。
(そもそもモーツァルトというのは凡て不思議ですが・・・)
ブラームス クラリネット五重奏
これは上にも書いたとおりモーツァルトの形式に則ったもので、四楽章は変奏曲になっています。
モーツァルトの曲が明るく天上的な音楽なのに対し、こちらは冒頭から憂鬱とした雰囲気が続きます。
ただチェロソナタなんかに比べれば軽めだと思われますが。(チェロソナタの1番の冒頭なんかの重たさは異常)
つまりブラームス的というわけ。
僕は日本人がなんでブラームス好きなのかよくわかりません。重たくて憂鬱で・・・あ、でも日本人ってそういう所がありますから共感するところがおおいのでしょうか。
四楽章
ついでに異常な重たさのチェロソナタも聴いてみますか。
重たいですがいい曲です。
ブラームス クラリネットソナタ
僕は上に書いたとおり友人に勧められて、この曲、1番と2番がありますが、これを当時つかっていた海沿いを走る電車の中で聴いていました。
これがちょっと難解な曲で、何度も聴きました。海をみながら毎日毎日。
それで何度も聴いているうちに段々わかってきたような気がしました。が、ブラームスを理解するにはちょっと僕の人生経験が足りないのか、おそらく後になってきき返すともっとなにかわかりそうな気のする曲です。
名演奏家と名盤
ライスター
僕がクラリネット奏者ときいて思い浮かべるのはまずカール・ライスターです。
カール・ライスター
元ベルリンフィルの首席クラリネット奏者で、この人はもう相当の年ですが、まだ現役で僕も数年前に演奏を聴きにいきました。
モーツァルトの協奏曲と五重奏
このCDの五重奏はウィーン弦楽四重奏団との演奏で、本当に見事なものです。
ライスターの音色は唯一無二のもので、その柔らかで流麗な音色は他の演奏家ではきかれません。
ウェーバーの五重奏は溌剌としたウェーバーらしい楽しい曲です。
ブラ―ムスのソナタ
この曲は重たい内容ですが、ライスターの音色は非常に滑らかで美しいですからバランスがよいように思われます。
プリンツ
またウィーンフィルにプリンツという名手がいました。
プリンツは芯のあるなんというか誠実な音色で、僕はライスターとならんでこの人の演奏が好きです。
この録音はウィーンフィルに二十世紀の巨匠ベームが指揮というものでこの上なく贅沢なものです。
マイヤー
他、僕が注目する人にザビーネマイヤーという女性の奏者がいます。
モーツァルトの協奏曲はもともと上にでてきた”バセットホルン”のためにかかれたもので、いま演奏されるときは殆ど普通のクラリネットで代用されていますから、原曲とやや異なる箇所があります。
マイヤーはバセットホルンを使って原曲で録音しています。
ききくらべるとわかるのですが、原曲のほうが音の動きが自然でのびのびしています。
最後に
クラリネットは普通あまり注目されませんが、本当に名曲ぞろいです。
とくにモーツァルトの作品は本当に特別で、真の名曲です。
クラリネットに興味のない人もモーツァルトは聴くとよいと心底思います。
是非聴いてみてください。
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