上の記事以来、何記事か英語の勉強について書いてきました。
気になるかたはこのリンクかカテゴリーの”ことば”からどうぞ
英語初級勉強法まとめ
英語の勉強は辛い。ただし根性さえあればなんとでもなる。
記事を書いてから折々に英語はどうやればできるようになるのか考えています。
おそらく英語学習の記事をみるかたは
勉強してみたが、全然できるようにならなかった。
という人が多いのでしょう。
英語学習の記事、とくに英会話のもの(殆ど全てですが・・・)は
時間をかけない
とか
勉強せずに
とか
そういうことを前面に押し出している。
いや、そういう風にできるようになる人もいるのかもしれません。
ただ、殆どの人はそうではないでしょうね。
本当に”時間をかけず、勉強せずに”英語ができるようになるなら、そもそも英語ができないなどということ自体発生しないのでは?
僕は多くの人がそういう記事にとびついているのをみて、英語の勉強の前にまずそんな都合のよい近道など存在しないという、つまり本当のことを見極める目を養ったほうがよいのではないかと思ってしまいます。
ではどうしたらよいか。
僕はいつも記事を読んでくださっている方にはわかると思いますが、元大学の語学の先生(ドイツ語)について勉強しています。
この先生はもう可なりの高齢で、つまり昔のことを色々と知っている。
というか何でも知っている。
日本はご存知の通り、徳川の時代鎖国しておりましたから、西洋の言葉としてはオランダやポルトガルの言葉が一部入っているのみで、その他の語学が公に研究されるようになったのはおよそ明治からなのですが、
明治から昭和の中期にかけて、日本の語学界というのは素晴らしいものでした。
帝大(東大)を中心に天才たちが溢れていた。
最近話題の漱石も帝大英文卒ですね。
それが戦後徐々に変わっていった。
つまり、より実用的な語学が目指されるようになった。(会話本位)
そして、四半世紀ほど前の大学教養部廃止で日本人の語学(というか大学・大学生全体)がダメになってしまったといいます。
(この辺は政府と大学の色々な事情があります。気になる方はまあ関連書籍をあたってください)
日本人は実用的なものが大好きで、”社会で役に立つかどうか”というところを非常に重視している。
ただ不思議なことに語学に関しては実用的な、会話本位の語学を目指しても、
もちろん学問的成果はあがらず、さらに実用的成果もあがらない、という・・・
某超有名外国語大学で伝統的な語学教育と会話本位の実用的語学教育を平行して行い、その成果を比べたことがあるそうです。
その結果に決定的な差があったといいます。
残念無念、悲しいことに、会話本位の講義を受けた学生は歴然とできなかった・・・
そういうことを僕の先生は隅々まで知っていて、昔のことを今のことを詳細に教えてくれます。
そして、”どうすれば本当に語学ができるようになるのか”ということももちろん教えてくれています。
まずは文法これしかない・・・
初級文法の習得に関してはこの記事に書きました。
文法の意義について疑っている人に向けて書きますと、
確かに母国語は文法など気にせずに扱うことができます。
しかし、大きくなってから外国語を習得しようと思えばこれは避けられない。
というか避けない方がよい。
海外で、五年ないし十年すれば、難なく話せるようになるかもしれません。
母国語を習得する過程でみられる、
まず母親から毎日話しかけられ、丁寧に言葉を教えられ、学校であいう(ABC)から習い、一つずつ語彙を増やし・・・
というような、馬鹿丁寧な言語体験が保障されているなら文法など気にせずともよいでしょう。
しかし、そういう環境にないのであれば、そしてある程度の思考能力が発達しているのであれば、文法を学んだほうがよっぽど楽で早いのです。
(よい)文法の講座はものすごく頭のよい語学者が苦労して作ったものです。
それを利用しないというのはちょっともったいないのでは?最短ルートがあるとすればそれは天才の示す道でしょう。
以下、英語勉強の外観と参考書をあげます。
また、書籍での勉強の他、ラジオ講座をきくというのもよいです。
初級の文法をみおわったら
今度は中級を目指さねばなりません。
中学相当の文法をものにしたら次は高校レベルの文法を学びます。
僕が使ったのはこの受験研究社の自由自在基礎英語で、
書籍全体に変な硬さがなく非常に使い易かった。
他よくつかわれるものに
フォレスト
とか
チャート式
があります。
まあ結局覚えられればいいわけで、自分にあったものをみつけられればよいと思います。
そういうわけで一応参考に以上のものをあげておきます。
フォレストは現代風の新しい感じのもの
チャート式はやや硬い雰囲気で、整然と項目が並んでいる
そして、高校レベルまでものにすることができたら、いよいよ英語学習は本番です。
ここまでくると、段々楽しみも増えてきます。
英語学習本番
これから以降の学習はおそらく同時進行が望ましいかと思われます。
同時進行といっても各々の判断で、配分を増やしたり減らしたり、もしくは専念したり、その辺は工夫が必要です。
というわけで以下に書くことはこの順序で勉強するということを書くわけではありません。
- 読本(読む)
- 作文(書く)
- 音読(話す)
これが語学学習の三本の矢でして、これがなくして語学学習はなりません。
三本の矢などというと虚言のようですが、これはもちろん嘘ではありません。
- 高級文法
それから文法に磨きをかけるのを忘れてはなりません。
ただ、これはとりあえず後回しでもよいでしょう。
1、読本(リーディング)
なんといってもまず読むことが大切です。
読むというのは、書いたり話したりするより省エネルギーで、短時間にものすごい量をこなすことができます。
ただの英語の本より、解説がついているものの方がよいのは説明するまでもないことです。解説によって、高級文法、語彙等を効率よく実地で学べます。
以下に僕の知っている参考書をあげておきます。
これは現代英米の文人、思想家80数人の著作から全部で134篇を選んで、解説するもので、
ジャンルも幅広い(小説、伝記、歴史、科学、文化、随筆)。
丁寧な語句解説と文法解説がついている。
中には相当難しいものも混じっていますが、これを読み終えるころには、ぐんと力が付いています。
多田幸蔵さんは洛陽社に他多数の著作があります。
かなり古いものから現代のものまで相当数あつめたもの。
語句解説と訳はあるが、簡単なものなので、英語好きか英文学に興味のある人向け。
僕の先生はこの本の著者の一人と”こたつ”に入ったことがあるといっていました(笑)
2、作文(ライティング)
今、一番されなくなっているのが作文でしょう。
作文は書く力をつけると同時に、読むことにもつながります。
以下、参考書をあげます。
英作文の超名著
名前もものすごいが、内容もものすごい
まずさいしょに英文を”500”暗記させられる。
作文が始まるのはそれから・・・
上と同じく佐々木高政著
僕はこちらを先にやりました。
まえがきにもあるとおり、
眼目は何より「わかりやすく」
書かれているところです。
非常にわかりやすく、しかも濃い内容の本。
3、音読
音読は発音してそれを覚えてしまうことが目的です。
こういう話を先生からききました。
ある大学の先生が1年後に海外で行われる学会で進行役を務めることになった。
しかしその先生は話すのがどうも苦手。
そこで会話の達人に相談したところ、
一日30分中学校の教科書を音読しなさい。
と言われた。
そのいいつけを守り、毎日30分音読しつづけた。
そうすると、一年後にはちゃんと進行役が務まるレベルまで上達していた。
これはもちろん、英語の専門家の話ですから、一般の人には当てはまらないでしょうが、音読と暗誦の効果は疑えません。聞き取り(リスニング)の能力にも通じるでしょう。
暗誦についてはこの記事に書きました。
今回は音読するにあたって、必要な発音のことを少し書きます。
日本人の発音について
僕は”何故か”外国語の発音が得意で、
英語をちゃんと勉強するようになる以前から、外国人の先生の授業でも発音だけはほぼ満点でした。(発音だけは)
よく人からいわれるのですが、僕はどうやら耳がいいらしい。
音楽をやっているのもそれと関係があるのかどうか、それはわかりませんが、とにかく大抵の日本人よりは音の感覚に優れている。
他のことに自信はありませんが、これだけはちょっと自信があります。
日本人の発音についてまず思うことは、
子音と母音の区別がついていない
ということです。
日本語は子音と母音を分けて考えません。
あかさたなはまやらわ
あ行は母音、他の行は子音と母音が合わせられたもので、どの行も子音が独立していない。
ただし、発音されて子音だけになるという例外はあります。
例えば、この”あります”というのを発音してみてください。
最後、す(s+u)の”u う”は発音されていますか?
しかし英語は子音のみを意識的に発音する必要があります。
日本人はこれができない。
たとえば
Good morning
を発音するとき
guddo mo-ningu
のように発音してしまう。
語尾のdやgに”お” と ”う”が入ってしまうわけです。
こういう風に日本人は日本語の音で英語を発音してしまう。
それからまた、日本語にない子音を認めず、
thをさ行やざ行で発音したり、f、vをは行ば行で発音したり、短い音を詰まらせたり(促音)、その他全て日本語的に発音する。
Thank you はサンキューではないし、favoriteはフェイバリットではない・・・
これをどうにかして直さねばなりません。
発音に関しては詳しい解説が大体の辞書についています。
英語の発音は普通、アメリカ式の発音とイギリス式の発音に分けられます。
今学校で習うのはアメリカ式の発音が多いと思われます。
僕も始めアメリカ式の発音でしたが、今はイギリス式の発音をしています。
どちらかというと日本人にはイギリス式の発音のほうがききとりやすく、話しやすいでしょう。
発音に関してはまたそのうちとりあげるかもしれません。
実際に作品にあたる
これらの山を乗り越えたら、いよいよ英文を実際読むと良いと思います。
僕がこの段階で読んだものを参考にあげます。
Tove Jansson : Moomins (ムーミン作品)>
特に初期のもの(洪水、彗星、一家)は読みやすく、
僕は洪水は初級段階で読みました。
以下参照
Lewis Carrol : Alice in Wonderland (不思議の国のアリス)
いわずとしれた名作
アリスについては以下参照
James Hiton : Goodbye Mr. Chips (チップス先生さようなら)
日本では映画のほうが有名?
研究社の小英文叢書は巻末に日本語の注がついていて取組みやすい。
そしてなにより印刷の具合がとても良い。
日本語訳は新潮社からでている。(今年新訳(白石朗)がでたが、まだ読んでいない。)
これは英語ができなくても日本語で読むと良い。
始め先生に勧められて日本語で読んだが、すばらしく良い本だった。
先生の言葉を借りると、「これを読んでいるか読んでいないかで、人間として違いがでる」
何度読んでも涙が滲む本。
George Orwell : The Animal Farm. (動物農園)
動物農園を舞台に、全体主義を批判するもの。
豚が活躍する。
内容はともあれ、名文で英語の勉強にはよい。
Bertrand Russell : The Problens of Philosophy(哲学の諸問題)
ラッセルが書いた哲学の入門書。
ものを感ずるということを軸に話をすすめて行く。
ちくまに「哲学入門」という題で翻訳がある。
W.S.Maugham : The Summing up (サミングアップ)
「月と六ペンス」や「人間の絆」で有名なモームの随筆
内容は、モームの人生と文芸論、人生論等
面白いが、概して難しい。
以上、一応難易度の目安に、易しいと思われるものから並べてみました。
僕はこれらを読むとき一度、文法の勉強や作文をやめて、ひたすら読みました。
これらに限らず、レベルに合わせて好きなものを読むとよいと思います。
ですが、名作ばかりですから勉強中の人に限らず、英語が得意な方も、読んだことのないものがあったら是非読んでみてください。
最後に・・・
以上長々と書いてきました。
これまで書いたことは、時流に逆らった”読む”ことを中心にした英語の勉強です。
これらは”時間がかかる”し、相当量”勉強しなければならない”ものですが、ここまでくれば日常そこらで目にする英語はだいたい楽に読めるようになり、英語が楽しくなります。
これをこなすのは本当に大変なことです。
しかし、これをやりさえすれば、やりさえすれば、英語が読めるようになります。
やりさえすればです・・・
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