僕はテレビというのは殆ど見ないのですが、少し前たまたまつけたテレビのドキュメンタリーに”エヴァ・シュロス Eva Schloss”という高齢の女性が出ていました。
彼女はユダヤ人で、ホロコーストが行われた際アウシュビッツに送られたが、奇蹟的に助かったという人で、アンネ・フランクの義姉妹であるらしい。
僕は番組の前半を見ていないので、アンネ・フランクと姉妹になる経緯はわからないですが、後半だけでも大変な内容でありました。
収容所から生き延びた人、戦争で酷い体験をした人というのはその体験を口にしないことが多いらしいのですが、高齢になりその体験を誰かに伝えておかなければならないと感じて口を開くということが最近増えているよう。
コーヒーカンタータ一連の記事
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番外編
ヨーロッパの言葉のあれこれ
僕はI先生とこの話をしたかったのですが、この話を思い出した時がちょうど例のMさんとの会食中で、
ドイツ人、しかもおそらくアーリア人の前で、アウシュビッツの話をするのはよくないと思いその日は止しました。
後日先生にきいてみたところ、やはりMさんはアーリア人のようでした。
そういえば、例のフラクトゥーアというのもヒトラー・ナチスが禁止したのが原因で、使われなくなったようです。
日本もドイツとは具合が違いますが、戦後それまでの表記法を失ってしまいました。
人を殺す、征服するのに文化を破壊するというわけです。
アーリア人のこと
知らない人のために一応書いておくと
昔々イランやインドに定住していた人々で、
今のヨーロッパに腰を据えている多くの人々の共通の祖先。
とはいっても民族は使っている言語によっても分けられたりするので、色々複雑な事情があるらしい。
ヨーロッパの代表的な人種といえば
スラブ系(ロシア人、ポーランド人等)
ラテン系(イタリア人、スペイン人、フランス人等)
ゲルマン系(アングロサクソン人(イギリス・ブリテン島の人など)、ドイツ人、オランダ人等)
なんかがあって、どれもアーリア人を共通の祖先にもつとされています。
ユダヤ人はアーリア人ではなく、それを理由に掲げて二次大戦のとき虐殺されたわけです。この辺はまた複雑な事情が色々とあります。
同じ系統の言葉は似ていて、
例えば、英語はゲルマン系の言葉だから、フランス語よりはドイツ語に似ています。ただ、語彙は歴史的な理由によってフランス語(ラテン系の言葉)が大量に入っている。これはフランス語をみればよくわかります。
まあ、日本語と比べればどれも同じようなものですね笑
フラクトゥーア Frakturの話
フラクトゥーアというのは上に書いたとおり戦前までドイツで使われていた文字で、ドイツ文字や亀の子文字なんて呼ばれるものですが、おそらくみなさんもみたことがあると思われます。
こんなものです。形としてはそこまでラテン文字(ローマ字)とかわるものではありません。
ただ、これが印刷ではなく実際に書かれるとなると、書き方によっては非常に読みにくくなる。
これは僕が書いたフラクトゥーア。作文のノートから
e,m,n,uの形が殆ど同じなので、単語を知らないと可なり読みにくい。
f,h,sもよく似た形
そしてこれがドイツ人がすらすら書いたものになると読めなくなる。
これは僕の手元にあるワーグナーのローエングリンの台本に書きこまれているもの。
戦前のものでおそらく1934年ころ
1933年にヒトラー内閣成立、1941年フラクトゥーア禁止ですからちょっと興味深い資料です。
解読が必要ですが笑
まあ現代のドイツ人はフラクトゥーアを使わないので、臆することはありません。
ドイツ音楽好きのみなさんドイツ語をやりましょう!
ラテン文字
フラクトゥーアを使わなくなったドイツで使われるようになって、今も使われているのが、上にもでてきたラテン文字です。
ラテン文字というのはきいたことが無いかも知れませんが、
英語で使われているあの文字がラテン文字です。
ラテン文字というのは古代ローマで使われていた言葉、”ラテン語”の文字という意味で、ローマ字ともいいますが、日本ではローマ字というとちょっと意味がかわりますね。
フランス語もラテン文字で、筆記法は英語と殆ど同じです。
殆ど同じなのですが、受ける印象は不思議と違うのが面白いところ。
ラテン文字と似ていて面白いのが、ロシア語等スラブ系の言葉で使われる”キリル文字”
以下キリル文字の一部
д
(゜д゜)この口の部分はラテン文字でいうところのd
и
Nを間違って書いたようなこの文字は i
п
椅子のような形のこれはp
р
じゃあこれは・・・?
これが r
г
これは r に似ていますがg
я
Rをさかさまにしたこの文字は・・・これは母音も入っていてya
ややこしいですね笑
筆記体が消える?
Mさんと食事にいったとき、旦那さんのY先生が
今の学生は一々ブロック体で書かなければ読めない。酷い状況だ。
と仰っていました。
今は学校で筆記体を習わないようですね。
僕もテキストに載ってはいましたが、習ったとはいえないですね。
個人的に筆記体を面白がって練習したので読み書きできますが。
日本だけでなく、英語を母国語とする国でも若い人は筆記体を使えないとききます。
どうして筆記体は廃れてしまったのか・・・
筆記する必要がなくなってきたからでしょうか?
日本語でも
行書や草書というのは廃れてしまいましたね。
廃れたといってももともと扱える人は限られていて、今でも読める人は読めるし、書ける人は書けるのでしょうが、文字に注意が向けられなくなっているのは確かでしょう。
昔は字の巧い拙いが、その人の価値を判断する基準のひとつだったようですが、
今は文字どころか、教養一般が省みられず、勉強なんてしなくてよい、寧ろしすぎると害だなどといって、自らの無教養を誇る人が見られるくらいです。
これは愚民政策がうまくいっている証拠でしょうね。
こういう僕も最近まで文字や国語というものに意識を向けたことがありませんでした。
あることをきっかけに僕の言語に対する意識は猛烈に膨れ上がって、もう手がつけられない状態で困っているのですが、それはまた機会があれば書きます。
参考
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